エッチな電車ゲームで途中の駅を全部消した話

エッチな電車ゲームで途中の駅を全部消した話

まるで気軽に書けていない雑記、第三弾です。
今回は開発中のゲームのお話。

面白いルールと、面白いゲーム

面白いルールを作ることは、簡単です。
でも、破綻なく面白い遊び(ゲーム)を作るのは大変です。

ルールを作る時、ついやってしまうのが、そのルールだけを見て「これでいける」と決めてしまうこと。ルールだけ見れば完璧で面白い。でも、それを理解するために、「分厚いマニュアル」を読まなくてはいけないとしたら?

ゲームは多くの要素の組み合わせでできています。グラフィック、サウンド、フィードバック、ストーリー、ルールなど様々です。
なのに、その一部だけにこだわって作っても、全体を合わせた時にうまく行かない。

今回はそんなお話です。

Hな電車ゲームの例

現在開発中の電車をテーマにした成人向けローグライトを例に挙げましょう。
主人公は「淫霊の蔓延る閉鎖空間(電車+駅)」から脱出するため、
呪符を用いて戦います。

設定はルールを説明してくれる

先の一文で、すでにいくつか仕事が済んでいます。

まず、主人公が逃げない・逃げられない理由。閉鎖空間だからです。
次に、殴ったり蹴ったりせず、わざわざ呪符で戦う理由。敵が霊だからです。

ルール上の制約、見た目上の制約、そしてゲームの目的。
ストーリーはそれらを説明する役割を、自然と担ってくれています。
さっきの「分厚いマニュアル」の話でいえば、ストーリーが説明を肩代わりしてくれるほど、マニュアルは薄くなるわけです。

ただし、設定はタダではない

これは後で効いてくる話です。

設定は説明を肩代わりしてくれますが、タダではありません。
借金に近いでしょうか。
強い題材ほど、説明してくれる量が多い代わりに、
「その題材ならできて当然のこと」を要求してきます。

電車という題材は、一本道の進行と、途中下車という選択と、逃げ場のなさを、
ほぼタダで説明してくれます。
その代わりに、駅というものが現実で何をする場所なのかを、
まるごと持ち込んできます。

最初に考えていた設計

最初の想定では、各駅に停車して降りるか乗り続けるかが選べました。
乗り続けた場合、徐々に敵の強さと報酬が良くなっていく。

降りた場合は駅での行動ができて、その度に時間が経過。
時間ごとに特色の違う電車が来るので、好きなものに乗車する。
ただし無制限ではなく、駅に到着する最終電車には乗らなくてはいけない。

つまり、駅での行動と次に乗る電車を天秤にかけて判断する。
電車での進行と駅での休息を活用しつつ、ラスボスを目指す。
そういうメカニクスでした。

こう書くと悪くなさそうに聞こえます。実際、私もそう思っていました。
ですが実装してみると、問題が3つ出ました。

実装して出てきた3つの問題

1.テンポが悪い

各駅につく度に降車確認が入るので、進行が細切れになります。
しかも、その度に聞かれる問いの答えは、たいてい決まっています。

2.どっちがメインかわからない

電車パートと駅パートの比重が、ほぼ同じになってしまいました。
比重が同じであること自体は、別に悪くありません。
問題は、どちらも「間の悪い短さ」で揃ってしまったことです。
どちらが本体か決まっていないので、片方がもう片方の休みになりません。
結果、集中しはじめる手前で中断を繰り返すことになっていました。

3.設定への意識が広がる

プレイヤーは駅で電光掲示板を見て、「○○線○○行」の電車に乗車します。

すると疑問がわいてきます。
行き先や路線が違うのに、同じ方向に行くのだろうか?
逆方向の路線に乗って、進路を逆にとったらどうなる?

現実の駅を模した選択肢が出てくることで、
ユーザーの意識が「現実の駅で取れるであろう選択肢」に向いてしまう。
説明しなくてはいけないことが、勝手に増えていきます。

借りていたものの返済が、ここで来たわけです。

どう解決したか

駅を一つだけにした

主人公や他のNPCが避難している「ホーム」となる駅を、一つにまとめました。
主人公はここから路線を選び、攻略していきます。途中の駅で降りた場合は、閉鎖空間の法則と結界の作用により、ホームへと戻されます。

これで「テンポの問題(1)」が解消されました。同時に、拠点と探索という主従がはっきりしたので、「メイン不在の問題(2)」も解決しています。

そして、「途中の駅」がなくなったことで、「現実の駅で取れる行動」を意識することがなくなりました。ホームからの乗車は、路線選択画面を通すことで、抽象化。ある程度現実とも整合したことで、「設定への意識問題(3)」も解消しています。

残った宿題
どこで降りても「なぜホームに戻るのか?」は、ゲーム内で説明しなくてはいけない部分として残りました。設定に全部を肩代わりしてもらえた訳ではありません。

降車できるタイミングを限定した

駅を一つにしたことで、降車は「途中下車」ではなく「ホームに戻る」という意味に変わりました。あわせて、降りられるタイミングも限定しています。

電車での淫霊との戦いは、1駅の区間を1ウェーブとして扱い、
最低3ウェーブごとに降車できるようにしました。

理由付けは「異界の綻び」。
敵の側は逃れられないように作っていますが、実際には綻びがあり、
特定タイミングでのみ逃げられる、という形です。

このルールの説明はオープニングで済ませています。
主人公は最初の駅で降りようとして透明な膜に阻まれ、
次の駅で綻びを見つけて脱出する。
プレイヤーは「電車からは好きに降りられない」を、
説明文ではなく一度の失敗として受け取ることになります。

ベストは「説明が要らない」ことですが、今回は難しかったため、
ストーリーと体験の二面から説明することにしました。

事前に気づくのは難しい

3つの問題を並べてみて思うのは、
どれも「ルールの間違い」ではなかったということです。

各駅で降車を選べる。設計通りに動いていました。
駅パートと電車パートの比重が同じくらいになる。これも設計通り。
駅に電光掲示板があって路線を選べる。設計通り。

バグではなく、仕様が正しく動いた結果として、遊びが悪くなっていた。

だからルールを読み返しても問題は見つかりません。
テンポも、比重も、意識の向く先も、遊んだ時にはじめて出てくるもので、
資料には書いていないからです。

ではどうするか。
「作る前にもっと疑いましょう」と書いて締めるのが収まりはいいのですが、
事前に全部想定するのは、実際にはかなり困難です。

頭の中で動かすゲームはいつも理想形で、断片的です。
自分の文章で誤字を発見するのが難しいのと同じように、
人間の脳は良くも悪くもいい加減にできているからです。

なので現実的な結論は逆。
間違いが判明するまでを安くする、ということになります。

・早く遊べる状態にする
・捨てられる粒度で作る
・捨てるときに惜しまない

駅と電車を天秤にかけるというアイデアは、今でも悪くないと思っています。
それでも、実際に遊んでみると、これらが電車パートのテンポを悪くしていました。

逆に言えば、電車パートのテンポ感が想定よりも気持ちが良かった。
だから、他を捨ててこちらを残す方を選びました。

面白いルールは、面白いゲームの材料にはなります。
でも、それだけでは面白いゲームになりません。
面白いかどうかを確かめる方法は、今のところ作って遊ぶことしかない。
今回はそんなお話でした。

1 COMMENT

匿名

幽霊にエッな事されるゲーム、しかも主人公ちゃんも好みとくればもう追うしかありません。完成楽しみに待っております。
サキュバスネスト、サキュバスヘヴンともに遊ばせてもらいました。
今回はネストみたいに撤退は出来るけどリソースが徐々に減ってくるみたいな感じでしょうか?(ネストの時は村人が次々と減って行って悠長にはできないな、という緊迫感がありました。)
ともあれ、続報楽しみにしております。

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